
最後までお読み下さりありがとうございます。
この「月光」は歌謡全集の「only man」に想を得たものです。
実は、私はこれを書いている時は正式な(あかほり版)「ニューヨークのマリア」を読んでいませんでした。「サクラ1」中に出てくるアメリカのお話といえば、
第9話であやめさんとの想い出を語るシーンだけのはずです。
あとは、攻略本に載っていた広井王子氏のインタビュー。『僕が勝手に考えてるんだけど、マリアさんにはニューヨーク時代に恋人がいたとする。革命軍の隊長さんに似た人が。ところがニューヨークの男はマリアさんを裏切って撃ち殺されているんだ、と。』(「サクラ大戦公式ガイド戦闘篇」アスペクト刊)
なんて過去を作りやがるんでしょう(笑)
でも判らなくはありません。
あの容姿、あの性格。悲劇がとっても良く似合う……。
んじゃどんな「悲劇」だったのか、それはもう「妄想、妄想、大妄想」のあげくに書きはじめたのがこの「月光」です。マリアさんの設定に関する疑問──用心棒なんて、隊長に目の前で死なれた彼女には無理じゃないのか? ニューヨークで恋なんて、そんな心の余裕があったの
か? それでもって、また「冷たいマリアさん」に戻るのは何故か? おまけに撃ち殺しておいて「SWEET MEMORIES」と歌っている(笑)
これらに自分で納得できるような物語を作るつもりでした。
まず「マリアさんを裏切ったとされている恋人」。
「他の女性に浮気した」というのが一番わかりやすい『裏切り』ではないかと思うんですが(笑) しかし、それだと「マリアさんにはそんな安っぽい男を好きになって欲しくな〜い!!」というファン心理が邪魔をします。
あとは「実は敵だった」。でも、それだと撃ち殺した後すっきりしちゃいませんかね? マリアに求婚したバスチアーノを敵にした訳ですが、あかほり版
「前夜」のヴァレンチーノフに冷や汗が流れたのは言うまでもありません(--;)
結局「期待と現実の齟齬」という曖昧な形にしました。
また、ロシアの隊長の「代わり」であったか、というのも悩んだんですけど、これはマリアさん自身もわからないだろう、と思ってあえて結論は出しませんでした。それからキーマンのあやめさん。
カワモトには第九話のあやめさん失踪後のマリアさんの台詞が謎でした。「昔、私を導いてくれたあやめさんは、善と悪、どちらのあやめさんだったのでしょうね?」
帝撃に入ったことがマリアさんにとってプラスばかりだったら、「悪」という言葉は出てこないんじゃないでしょうか?
あやめさんは、一体どういう誘い方をしたのか?
マリアさんを、「助けるため」だけではなかったのか?
そんな疑問を形にしました。
書いている間は意識しませんでしたが、一番思う通りに書けたキャラになりました。
私達はこの後、マリアがあやめさんとどう別れるかを、あやめさんの「戦いの中でしか会えない人」の最後を知っています。
だからACT 9の台詞が書けて良かった、と今となっては思います。あとミセス・パリッシュにはモデルがいまして、本当にタイタニックの事故で御主人を亡くした推理作家の夫人なんですが、書いてたころはディカプリオ主演の映画なんて話題にもなってなかったので、びっくりしました(汗)
また「ホープダイヤモンド」は実在のもので、現在はスミソニアン博物館に展示されています。その所有者として登場したマクリーン一家も実在の人物で、
ヴィンソン少年が事故死したのは、1920年の5月ということです。(「月光」は夏の設定ですので、故意に変えてあります。)
あと実在の物と言えば「ハーレムの大聖堂」。セント・ジョン大聖堂という有名な教会をモデルにしてますが、もちろん「呪を解く」なんてことはしてくれませんし、賢人機関のようなアヤシげな組織とも(たぶん)無関係です。あやめさんの部屋に十字架があったことから、クリスチャンであるという設定でいろいろ書いていますが、カワモト自身はキリスト教の知識を持ち合わせておりませんので、「すべてオリジナルの設定なのだ」ということでご了承下さい。